きょうから9月。夏休みに帰省して古里の味を堪能した人もいよう。口に広がる懐かしさに、幼いころの思い出がよみがえったかもしれない。
子どものころに好きだったわが家のメニューは?
三菱電機エンジニアリングが社員230人に聞いた。トップはカレー。次いでハンバーグ、からあげの順。中でもカレーは3分の1が「好きだった」と回答。男女別、年代別でもすべて1位だった。
カレーの古里はインド。植民地支配した英国に伝わり、日本には明治時代、西欧文化と一緒に英国から入ってきたという。明治の終わりごろには、洋食店のメニューにも加わった。1908(明治41)年に発表された夏目漱石の「三四郎」に、東京・本郷でライスカレーをごちそうになったという話が出てくる。
インド発祥のカレーも、長い時を経て日本人に愛される国民食になった。占領軍の押しつけだから変えよう、という人もいる「平和憲法」はどうか。おとといの国会前の様子を見て、日本人の心にしっかりと根付いていると得心した。
安保法案に反対する群衆が議事堂の周辺を埋め尽くした。戦争の思い出をよみがえらせたくない高齢者、安保闘争を経験した世代、制服の高校生、子連れの母親。皆が声を合わせた。抗議行動は東京にとどまらず、全国各地に広がった。
日本の好きなところは?
問えば、年代別、男女別でも、答えの上位はきっとこれだ。
「平和」
西日本新聞「春秋」より。2015/9/1